ここまで市内浅羽地区、西同笠寄木神社境内の津島の杉の祠、オカリヤ(御仮屋)から始めて、地域に伝わる祇園の祭礼を順次紹介してきた。最後に天竜川右岸の事例として、浜松市南区下飯田町を紹介しよう。
下飯田町は浜松市の東部にあり、集落の東側に安間川(旧天竜川)が流れ、さらに東側には天竜川の本流が流れている。旧長上郡に属し北から上飯田村・下飯田村・金折村と並んでいる。
下飯田町の祇園のオカリヤは六所神社拝殿で8月第一か第二土曜日に長老達が集まって杉の葉で神輿を作る。できあがると津島神社の御札をその中に納め、神事を行う。その形は、両側にピンと角を立てたもので、磐田市の新出・東脇のものに類似しているが、神輿仕立てにしたものは初めてであった。
オカリヤの神輿は割竹に杉の葉を挟んで組み立て、二本の担ぎ棒の上に載せる。大きさは横幅が50センチ角で高さ約60センチ、屋根の棟の両端が約90センチあり、角のように反り上がっている。新しくできた神輿は一年間神社内に祀っておいた古い神輿の前に並べ置かれ、神饌物を上げてお祓いが行われる。
翌日、新しい神輿を外に出し、子ども達はこれを担いで拝殿と境内入口の鳥居の間をぐるぐると数周廻ってお披露目が行われる。(山)