毎年8月15日の夜に行われる朝長公御祭礼は次のように行われる。
- 宮の前夜の9時頃、三川地区の御沙汰神社(ごさたじんじゃ)前に青年と七人の子ども達が集まる。古くは各戸から一名ずつ出ていたが、明治以降、友永成年舎、保存会へと引き継がれ、現在に至っている。一行は、広場の中央に傘と幟(のぼり)を立て、青年が傘を背に並び和讃「宮の前」を謡(うた)い、子ども達は長い竹を持ってその周りを廻る。
- 道行(みちゆき) 謡が終わると子ども念仏で使った盆車(ぼんぐるま)の太鼓を鳴らしながら積雲院に向かう。行列は集落の中を進み、途中で南を向き和讃「平松(ひらまつ)」を謡う。その後、行列はあとずさりしながら供養塔の祀られる積雲院の境内に入る。あとずさりという後ろを見ない行為をすることによって、背後に異界が顕れるのだという。
- 供養塔の前 一行は供養塔の前で一列になり「平松」を謡う。円形に並び直し、再び傘と幟を立て、これを中心に青年が輪を作り「平松」が謡われる。子ども達は青年の廻りを時計回りに廻り、謡いが終わると、参詣者は子ども達が持つ笹竹を奪い合う。これを門口に立てると災難除けになると信じているからだ。
この御祭礼は、源朝長への御霊信仰が基盤にありながら、子ども念仏の行事と習合(しゅうごう/異なるものが一つになること)して盆行事になったものである。「御霊信仰」と一口に言っても、長い歴史のなかで多様な展開をとげ、現在に繋がるということを教えてくれる。 (山)