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第75回 御霊信仰と袋井3 祇園

 

通常、神社建築は本殿と拝殿という個別の建物から成り立っているが、感神院祇園社(かんしんいんぎおんしゃ)と呼ばれた八坂神社の本殿は、神殿と礼堂(拝殿)が一体化した仏教建築の様式で、特に「祇園造(ぎおんづくり)」と呼ばれ10世紀に成立している。


しかも、内部空間を拡げるために、堂の左右、背面の三方向に孫庇(まごひさし)を付けて神饌所(しんせんじょ)・御供所(おんくしょ)とし、特に堂の背面空間は、社務執行(しゃむしぎょう)という、祭神の牛頭天王(ごづてんのう)に奉仕する僧侶集団の詰め所となり、仏教色が濃厚な空間であった。


皆さんは四条通に面した八坂神社西楼門(祇園石段側の門)をくぐった正面に「疫神社(えきじんしゃ)」と呼ばれる小祠があるのをご存じだろうか?これが祇園社の起源となった御霊=疫神を祀った名残で、遠州に拡がる祇園系祭神のルーツである。根源は意外に地味で忘れられる運命にあるようだ。 (山)