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第34回 白山信仰と袋井22 袋井・浅羽からの白山巡礼11

 

別山室(べつさんむろ)の小屋で一夜を明かした一行は、出発後いきなり急斜面を30分近く登り、ようやく標高2399メートルの別山頂上の祠の前に立つことができた。ここからが「白山」の内となり、美濃から加賀の管轄に移る。


別山は「白山」を構成する三峰(御前峰・大汝峰・別山)の一つだが、終点の御前峰までの道のりは実に長い。山頂に立つと、白山最高点の御前峰が眼前に見えるはずなのに、夏場は霞が厚く覆うため、まず見えない。


写真のように別山から山頂までには、2200メートルクラスの大屏風と呼ばれる断崖上を縫って延びる禅定道を通り抜け、油坂の頭というピークから一気に200メートル谷底に降り、くじけそうになりながらも再び100メートル這い上がって、白山南側の水源となる標高2106メートルの南竜ヶ馬場(なんりゅうがばば)に着く。この間、三時間以上が経っている。


最後の力を振り絞り斜面を登ること二時間で目的地の山小屋、標高2448メートルの室堂小屋に到着。室堂(むろどう)とは、山小屋の室(むろ)と、神仏を祀る堂とが合体したもので立山のものが有名だ。一行はここで荷をほどき昼食を取りながら最高点登頂に備えるのであった。(山)