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第23回 白山信仰と袋井11 松原王御前(おうごぜん)神社と白山4

 

王御前神社は江戸時代には、赤尾山長楽寺の密教僧が法要を務める場所であったことが、棟札資料の記載内容を検討することで明らかとなりました(21・22回参照)。


江戸時代の神社の名称が「大御前」と記されていたのは、どうやら白山姫神の大御前と考えるのが正解のようです。それは長楽寺の鎮守そのものが白山権現であることを考えれば、妥当なところなのかなという気がします。八幡の母神も、白山の母神も同じという認識なのでしょう。そんなことがあるのか?と読者は思うかも知れませんが、様々な要素が重層的に混じり合い重なる日本の自然崇拝を基本とする信仰観では、このようなことは珍しくありません。重要なのは、母神であることなのです。


袋井市内では尊永寺・油山寺・岩松寺という真言寺院の鎮守は全て白山神で、西楽寺の鎮守十所権現にも白山神は含まれており、真言密教の拠点であった室町時代から江戸時代の太田川・原野谷川流域では白山神への信仰は身近なものであったようです。(山)