景観復元模型を作るには、できるだけ正確な地形図が必要です。袋井宿には、幸い宿場に相当する現在の町並一軒一軒の区画と、江戸時代終わり頃の家並みを、大まかに重ねて復元した図がありました。これを500分の1の縮尺に拡大し、白いパネルにカーボン紙で写し、土台部分ができあがります。
つぎは家の構造です。参考となる幕末の東海道の宿場の写真を見ると、江戸に近い宿場は瓦屋根で低い二階屋が多いのですが、離れると意外に、茅葺き屋根の平屋が多いことに気付きます。
復元といっても、袋井宿のあった250年間で家の構造がわかる資料はありません。最も近い1915年(大正4年)の町並みの写真では、殆どの家が瓦屋根の二階屋ですが、1800年頃となると、どうも怪しい。
そこで、旅籠や一般の家は板屋根で、平屋と二階屋の両方を想定、本陣は瓦屋根、社寺は茅葺きにしました。
問題は、材料です。小さな家を加工するには?試行錯誤の結果、消しゴムが最も加工しやすく、複雑な本陣の建物はクラフト紙を使い、彩色して仕上げ、見事な袋井宿が出現しました。 (山)
完成した模型は、袋井市郷土資料館で常設展示しております。