袋井市立図書館
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第35回 白山信仰と袋井23 袋井・浅羽からの白山巡礼12

山頂下の室堂で疲れた身体を休めた一行は、翌朝御来光を拝むために4時前に起き出し、暗闇のなか、身支度を調えて山頂に向かった。山頂までは比高差250メートル、距離にして800メートルほどにすぎないが、何しろ空気が薄いせいで、身体が重く感じられ、山頂までは小一時間かかる。

5時近くになると東の空が明るくなり、日の出前の朝焼けによって一面を覆う雲海が下から照らされ、この世の景色とは思えない幻想的な空間となる。

雲海の中からは乗鞍岳を始め北アルプスの山並みと立山連峰の先端だけが顔を出している。この壮大な曼荼羅空間に、ちっぽけな自分がいることに感涙し、手を合わせないではいられない。眼前には、浄土そのものがあるからだ。

しかし、浄土は陽が昇ってしまうと普通の景色に戻ってしまい、わずかな時間だけのできごとだった。興奮冷めやらぬ一行は、山頂を反対方向の加賀側に降り始める。山頂裏面は噴火口なので一面がガレ場となり、これまでの地形とは一変して草木が殆ど無く、池にも生き物が一切いない荒れ果てた死の世界が広がる。このように白山山頂には表の極楽の顔と裏の地獄の顔が共存している。世の中の現実の姿と同じ構図なのだ。(山)

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