袋井市立図書館
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第29回 白山信仰と袋井17 袋井・浅羽からの白山巡礼6

宿坊の朝は早く、3時には起き出して身じたくを整える。今日から数日間は白山山頂を縦走する美濃禅定道最大の難所を進むことになる。山行きに必要な物はここで調達し、一行は宿坊の御師(おし)に連れられ出発だ。

小一時間も歩くと、立派な銅(かね)の大鳥居に出る。見上げた神額には「白山中居権現」と記してあり、ここが石徹白郷の要、中居(ちゅうきょ)神社の入り口だ。郷内の住人は総てこの神社に仕える神職というように、特別な関係で結ばれている。

御師の指導で、決められた作法の礼拝を済ませた一行は鳥居をくぐり、沢へ降りてゆくと、水量の豊かな宮川という清流があり、そこには二本の巨大な御柱(おんばしら)が渡してあり、「布橋」というのだと説明を受ける。

これは40年に一度付け替えられ、山中から大木を切出し、雪の中を村中総出で曳いてくる。ご神木でもある。

祭礼時には白布を敷き、これを踏んで通り、神の世界へと渡る。神事に参加し終えると再び布橋を通って「この世」へ戻ってくる。という具合だ。ちなみに、浜松市布橋は、この白山信仰の行事が伝播し、神事は早くに消滅したが、地名として残ったものだ。

布橋を渡り終えた一行は、中居神社の神域へ踏み込む。廻りは暗闇の中に樹齢千年を超える杉の霊木が林立し、霊気が一面に漂う。ここからが白山神の胎内だ。

松明に導かれた一行は神域を抜け「四十八瀬」という5㌔近い尾根道を幾つもの沢を渡り、清流で禊ぎ(みそぎ)をくり返しながら、今清水宿へと向かう。辺りはすっかり明るくなり持たされた塩むすびを、漬物をかじりながらほおばり至福のひとときを過ごすのであった。(山)

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